ムジーク

勝手気ままに綴る音楽ブログ

Galileo Galilei『ハマナスの花』10周年に寄せて

 

2010年2月24日。今から10年前、Galileo Galileiのメジャー・デビュー作『ハマナスの花』がリリースされた。

 

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当時の僕は高校生で、ラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!』を熱心に聴いており、Galileo Galileiが「閃光ライオット」の初代チャンピオンだということを知っていた。もっと言えば、僕が人生で初めて行ったライブで、人生で初めてこの目で観たバンドが、その日のオープニング・アクトとして出演していたメジャー・デビュー前のGalileo Galileiだった。2009年の出来事である。

 

(初めて行ったライブ「YOUNG FLAG 09」についてはここでも触れています。)

 

しかし、その時は彼らに特別な魅力を感じていたわけではなかった。尾崎雄貴がMCで素っ気なく言った「頑張りますのでよろしくお願いします」という当たり障りの無い一言だけが記憶に残り、その辺の普通のバンドだろうと片付けて、その日は終わった。

 

そんなバンドが翌年メジャー・デビューし、あのミュージック・ステーションに出演することになるとは。今思えば、僕の稚拙な想像力のせいでその思考に至らなかっただけであって、後の彼らの躍進を踏まえると「閃光ライオット」で彼らを見出した先見の明には感服するばかりだ。

 

2010年。話題になっていたこともあり、リリースされてすぐ『ハマナスの花』のCDを買った。それほど大きな期待はしていなかったが、リード曲となった同タイトルの"ハマナスの花"を聴いた僕は、彼らの音楽が自分にとって必要不可欠なものになることをはっきりと自覚することになった。

 


まず、曲全体に比べれば随分とヘヴィーなイントロがとにかく鮮烈だった。歪んだギター、スラップされるベース、ドシャドシャ降り注ぐドラム。この時点で早くもノックアウトされるのだが、あどけなさが残る歌声、無理矢理押し込めてはみ出しそうな歌詞など、聴けば聴くほど「青さ」が眩しく瑞々しい曲だ。

 

その「未完成こそが完成形」と言わんばかりの当時の彼らに、僕はただただ圧倒されてしまった。同世代のバンドが、心情をあからさまに吐露するような音楽を、ひたすらかき鳴らしている。うだつの上がらない日々をどうにか引き伸ばしていた普通の高校生の僕には、とても輝いて見えた。もっと言えば「憧れ」でもあった。

 

未完成とは言えども、これは後々理解出来たことだが、尾崎雄貴の詞世界はこの時点で凄まじい領域に達していた。北海道の道花であるハマナスになぞらえて、自分自身が成長していく物語を詰め込んだ"ハマナスの花"の歌詞は、10代そこそこで簡単に書けるような代物ではない。尾崎雄貴が投げかける言葉たちは、他のどんな音楽や文学よりも「正解」を導いているような気がしてならなかった。

 

世界は張り裂けて僕はここにいる
受け入れることは染まるのとは違うから("ハマナスの花")

 

僕らを赤裸々に表現したような嘘臭いリアルの映画や小説に
無力感と馬鹿らしさと共感を感じるんだ("ハマナスの花")

 

そう思ったのはきっと僕だけではないだろう。当時の僕には、宅録で音楽を作っている同じクラスの友人がいた。彼は僕が『ハマナスの花』を買ったことを知ると、貸してくれと頼んできた。自分と同年代のGalileo GalileiがMステに出演することを恨めしく思っていた彼は、曲の出来栄えを吟味してやろうと思ったらしい。その複雑な感情の奥底には「憧れ」や「共感」が強く渦巻いていたに違いない。

 

もちろん"ハマナスの花"だけが突出していたわけではなく、収録されたどの曲も僕にとってはかけがえのないものだった。

 

ハマナスの花』はミニアルバムだが、本当によく出来た作品だとつくづく思わされる。たった6曲、30分未満の長さながら、その密度はとにかく濃い。切実なロック・ナンバーである"Answer"、キーボードとゲスト・ヴォーカルで早くも新たな顔を覗かせた"フリーダム"、6分に迫るインスト・ナンバー"Ч・♂.P"(読み方は「アメラブ」)など、彼らのクリエイティヴィティはデビューの時点で密かに熱を帯び始めていたことが分かる。

 

 

彼らの凄さを半分も理解しないで、ただ「良い」と思って聴き狂っていた当時の自分のなんと贅沢なことか(それから数年後、2012年リリースの2ndアルバム『PORTAL』を聴いて、その完成度に僕は腰を抜かすことになる)。いや、それこそが音楽の原体験として正しいとも言えるのかもしれないが。

 

僕をここまでリアルタイムで射抜いた音楽は、後にも先にもGalileo Galileiだけだったと断言したい。 あれから10年が経ち、厳密に言えば彼らはもう「存在しない」のだが、Galileo Galileiの音楽は今でもハマナスの花のように色鮮やかに咲き誇り続けている。そしてそのことが、僕を生かし続けていることは言うまでもない。

 

あの花の色は決して忘れないから
色あせないよ("ハマナスの花")

 

デビュー10周年、おめでとうございます。

 

 

(taku / おすしたべいこ)

 

 

ナンバーガール・逆噴射バンドと無常の旅

 

ずっと、彼らは再結成しないと思っていたし、してほしくないとすら思っていた。それがどうだ、17年ぶりに復活すると知った途端、いとも簡単に手のひらを返してしまった。

 

ナンバーガール。僕の人生に深く刻まれているバンドのひとつだ。

 

存在を知った頃にはとっくに「過去」のバンドだったが、気づけば僕はその音の虜になっていた。浪人時代、最も再生した曲は"透明少女"と言ってもいい。震災で日本が疲弊していたあの年、僕はイヤホンを両耳にねじ込んで、透明少女の存在を信じながら自転車のペダルをひたすら漕いで予備校に通っていた。

 

しかし、2019年も終わりに差しかかる頃、僕はナンバーガールのライブを観ていた。そんな日が来るなんて全く予想していなかった。この世は無常である。

 

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COUNTDOWN JAPAN 19/20のステージに、ナンバーガールは立っていた。未だにあの光景を目の当たりにしていたことが信じられない。会場に漂っていた異様な空気が、僕を突き刺したのをよく覚えている。

 

しかし、ある意味もっと信じられないようなことが起きた。無観客ライブの生配信、である。

 

 

* * *

 

 

終始、淡々と、ヒリついたライブを遂行する4人がそこに居た。本来であれば超満員だったはずのZEPP TOKYOに、観客の姿はない。その代わり、フロアにはセンタークレーンが置かれ、普段のライブでは撮れないような画角での撮影が可能となり、迫力のある映像が広がっていた。

 

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音響や画質も生配信とは思えないほど素晴らしく、さながらこれまでYouTubeで観てきた過去のライブ映像をアップデートしたかのような感動があった。まさに「6本の狂ったハガネの振動」が令和の世に蘇った瞬間だった。

 

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ライブの演出も、向井秀徳が自ら無観客用に考えたものだったという。突然握られるピストル、謎すぎる独特なMC(「異常空間Z」という新語を生み出すなどしていた)、4本同時の喫煙、そして画面に向かって発砲…と、やりたい放題。向井秀徳を止める者など、もはや誰もいなかった。

 

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しまいには、"OMOIDE IN MY HEAD"で森山未來がサプライズで登場。フロアでめちゃくちゃに暴れ回ったかと思えば、ステージに上がって煙草に火を付けてピースサインする始末。その盛り上がりはTwitterでトレンド入りするほどだった。

 

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代表曲からレアな曲まで、惜しみなく披露した2時間。観客がいない空間はまさに「冷凍都市」もしくは「殺風景」とでも言うべき空気感があって、奇しくも彼らとマッチしていた。

 

生で観たよりもずっと「ナンバーガールは実在した」ということを、まざまざと見せつけられた。それほどにまで衝撃的な映像だったと思う。

 

 

* * *

 

 

ただ、配信が終わって数日経って、ようやく思考が冷静になってきた。

 

無観客ライブというのは、コロナショックによって実現してしまった、言わば「非常事態」だったわけである。向井秀徳が「稼ぎたい」と言って再結成したナンバーガールが、皮肉にも無銭の生配信に踏み切ったのだ。そこには運営側の、そしてバンド側の100%の「善意」がある。そんな状況でも、MCでコロナウイルスに言及することは一切なかった。 いつも通り…いや、いつもより狂気じみたナンバーガールが、ただそこに居たのだ。そして、僕らが求めている「エンターテインメント」が、まさにそこにあったのだ。

 

あのライブの裏側で、どれほどの損害が出ていたのだろう。そう考えると、無観客でもライブを決行してくれた彼らには、ただただ感謝の意が込み上げてくる。

 

無常の世には、やはりナンバーガールが必要だ。

 

散々暴れ回っていたマスク姿の森山未來は、少なくとも今の僕そのものだった。どんな状況であっても、僕は音楽の中で踊っていたい。

 

 

(taku / おすしたべいこ)

 

【1曲レビュー】Tempalay "大東京万博"

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2020年2月26日、Tempalayの新曲"大東京万博"がリリースされた。

 

相変わらずの異国情緒溢れるサウンドに酔いしれてしまう…。今作はイントロから二胡がフィーチャーされ、より全体的にオリエンタルなサウンドに仕上がっている印象。

 

レトロなギター・サウンドや、2番の最初で微妙にズレるドラム、そして唐突な「らっせーらー」など、様々なアイデアを詰め込んだごった煮ソング。どこの国の民族音楽かも分からないようでいて、ポップな要素もある。この「ギリギリ曲として成立している感じ」がもうたまらないわけで。初めは「うわ、なんだこれ」と思っても、「気持ち悪いもの見たさ(聴きたさ)」で気づけばリピートしまくってしまう。

 

MVはどうだろうか。

 

 

荒廃した未来の東京の歌…とでも言おうか。時々アニメを挿入しつつ何やら怪しげな祭(?)が繰り広げられる、Tempalayならではのカオスな映像。メンバーが付けている奇妙な仮面も独特な雰囲気を放っている。ここまで来れば、この楽曲が『AKIRA』へのオマージュだということがお分かりいただけるだろう。

 

ちなみに制作はKing GnuやWONKのMVなどでも知られる気鋭のクリエイティブレーベル「PERIMETRON」(ペリメトロン)によるもの。"どうしよう"や"そなちね"のMVも彼らの作品、です。

 

そんな楽曲に添えられた歌詞は、所々韻を踏みながら、どこか古風な言葉遣いが美しい。

 

醒めない酔い まほろばいとをかし 嬉しからまし
泡沫の朧は十六夜
昔話のように 

あなたは面白く輝いていて
どこまでをも強く羽ばたいてゆけ

浮世通り 乙女子紅差し頬赤らまし
大東京に 宵はガンダーラも夜通し 猿知恵はクラシック

雪どけこと知らず恋しくて
薄氷ほどもろく儚くて
逃れ逃れどこへ 死なないで生きていてね

あなたはやさしさに泣く
子供みたいにひどく泣く

 

「逃れ逃れどこへ 死なないで生きていてね」というフレーズは、例の感染症を踏まえるとあまりにもタイムリーに響く。楽曲自体は間違いなく東京オリンピックを意識したものであるが、未来に対するささやかな祈りが込められているようにも感じた。

 

それにしても、Tempalayの曲は毎度毎度素晴らしくて本当に困るね。

 

Tempalay - 大東京万博
2020年2月26日 リリース

 

 

(taku / おすしたべいこ)

  

聴きたかった羊文学、リキッドルームに - 羊文学「はばたき」を観て

 

前回のワンマンから約半年。さらに会場を大きくして羊文学が帰って来た。

 

2020年1月31日。新作EP『ざわめき』を引っさげて大阪と東京をまわったツアー「はばたき」の東京公演、恵比寿LIQUIDROOMに僕はいた。例によってチケットはソールドアウト。会場の規模の大きさを毎回更新しながらも常に満員。彼女たちが急速に支持を得ていることが目に見えて分かる。

 

今回ライブを観て感じたのは、まず音響の良さだった。リキッドルームには初めて足を運んだが、立体感のあるギター、太いベース、身体の芯まで響くドラム、そしてそれらに埋もれることなく会場を包み込むヴォーカルに心底驚かされた。音源とはまた違う、羊文学のライブバンドとしてのダイナミズムを十二分に感じることができた。

 

それから、何より3人が純粋にライブを楽しんでいる様子が見られたのが本当に嬉しかった。特に塩塚モエカのはじけるような笑顔が忘れられない。今までのワンマンの中でも一番楽しんでいるように見えた。少なくとも僕にはそう思えた。

 

セットリストは『ざわめき』から全曲に加え、新旧織り交ぜて披露。ハイライトとしてはステージ後方の水泡のようなVJと共に美しいハーモニーを聴かせた"ソーダ水"と、久々に披露された"Blue.2"を挙げたい。特に"Blue.2"は塩塚自身も気に入っているらしいが、ライブではここぞという時に披露されるレア曲となっているイメージ。美しい轟音とエモーショナルな歌声に胸が締め付けられる。

 

過去最高レベルで完全度の高いライブを目の当たりにし、僕は自分の血が巡っていくのを感じていた。これこそが僕の求めているものだった。こんな体験が出来るバンドは、他に知らない。

 

とは言え、羊文学の何かが大きく変わったわけではない。相変わらず彼女たちは「ただ」そこにいてくれたし、羊文学の音楽は僕の人生の中に確かに息づいていることを改めて感じられた。

 

羊文学は羊文学のまま、変わらないままはばたいていく。次の行き先はどこなのだろうか。期待は膨らむ。

 

 

(taku / おすしたべいこ)

 

 

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羊文学「はばたき」@恵比寿LIQUIDROOM 2020/01/31

1. 人間だった
2. 雨
3. ドラマ
4. サイレン
5. うねり
6. ミルク
7. 恋なんて
8. 天気予報
9. 踊らない
10.ソーダ
11.優しさについて
12. コーリング(Intro long ver.)
13. 1999
14. ロマンス
15. Blue.2
16. 夕凪
17. 祈り

En1

18. 新曲
19. マフラー(Intro long ver.)
20. Step

En2
21. 生活

 

ヤなことそっとミュートの新メンバー・凛つかさが気になる

 

タイトルのまんまです。ヤなことそっとミュートの新メンバーである「凛つかさ」さんが気になる。初めて見た瞬間からこんなにもビビッときたアイドルは久々だったので、軽い気持ちで文章を綴ってみることにした。

 

凛つかささんは昨年の新メンバーオーディションで見事勝ち残り、2019年12月29日に行われた定期ワンマンライブ「NINE Vol.7」にてお披露目された。現在大学生。歌やダンスはもちろん、これまで芸能活動の経験自体がゼロだったという。

 

まあ、そんな説明はこれくらいにして、まずは彼女の公式ヴィジュアルをしっかり見て欲しい。

 

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いや、めちゃくちゃかわいくね?

 

各メンバーが振り返る彼女の第一印象も、

間宮まに:「綺麗なお姉さんが来たぞと思いました」

南一花:「パッと見た瞬間"かわいい!"の一言でした」

なでしこ:「雰囲気や人間性に惹かれて…」

と上々なものである。そうか人間性も良いのか。

 

とりあえず彼女のツイートを全部遡ってみた。いや気持ち悪いとか言うんじゃないよ。普通に全部見れるくらい、まだ日が浅いってことなんだよ。分かるだろ?

 

そうするとまあ、やっぱりかわいいのなんのって。

 

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ちょっと強すぎるよね~。食べ物が似合うよね〜。良いよね~。

 

極めつきは眼鏡を着用した姿である。

 

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爆心地。

 

これはもう、Maison book girlの和田輪さんと合わせて【「りん」と名の付くアイドルは眼鏡が似合う 】という仮説を立ててしまうレベル。そうだろ?

 

いよいよ気になって、公式HPも見てみた。以下が現在(2020年2月)のプロフィールである。

 

誕生日
1997/6/19

身長
154cm

座右の銘
華麗奔放

 *自分のチャームポイント
下向きのまつ毛

*人生を変えた漫画
惡の華 

*心に残った小説
人魚の眠る家、向日葵の咲かない夏

 *好きなレジャー
ピクニック

 *嫌いな食べ物
かたやきそば

無人島に1つだけ持っていくなら
おいしいお弁当

*住んでみたい国とか場所
ギリシャ

*この世で1番ヤなことは?
クラスで二人組を組むやつ

 

下向きのまつ毛! ウンウン良いよね良いよね! おいしいお弁当? か〜わいいねえ!…とクソキモ笑顔を浮かべるなど色々とポイントはあるわけだが、僕には一ヶ所だけ特に光って見えた。

 

惡の華!!!

 

押見修造氏の『惡の華』は僕もフェイバリットに挙げる漫画の一つであり、自分の人生に多大なる影響を与えたと言っても過言ではない作品。僕は案外単純なので、やはりこういった繋がりを見つけてしまうともうダメだ。推すしかない。「おすしたべいこ」の「おすし」は「お寿司」であり「推すし」なのである。は?

 

バニラビーンズのレナさんの名言にもあるように、「推しは変えるものではなく増やすもの」なのだ。僕はつかささんを応援したい。そして今まで以上にヤナミューを応援したい。

 

それにしても、マジでヤナミューはとんでもない逸材を見つけたな…と思う。拍手喝采

 

思えば、久しくヤナミューのライブに足を運んでいない。今年こそは観に行きたい。他の記事でも触れたが、僕の初チェキの相手は間宮さんなのである。あれはもう2018年の話。その年以来ご無沙汰なので、今年こそは観に行きたい(2回目)。アイドルの現場はどうも馴染めず苦手なのだが、それを乗り越えてでも行きたいと思わせる、そんな存在が凛つかさ。凄すぎるだろ。

 

 

あわせて読みたい

 

 

(taku / おすしたべいこ)

 

 

【1曲レビュー】DAOKO "御伽の街"

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ちょっと聴かないでいるうちに、すごいことになっていた。DAOKOの新曲"御伽(おとぎ)の街"の話である。

 

とりあえずMVを観て欲しい。まずサムネイルからキマってやがる。

 

 

鮮烈な色づかい、レトロな8bitやVHSのノイズ、そこに交錯する幾何学的なヴィジュアル・イメージ。そんな映像の中でOL風の衣装に身を包んだDAOKOが悩ましげな目線を送ってくる。何かいけないものを観てるんじゃないか…?という気持ちになる。思わずもう一度再生してしまう。くらくらする。ああもうやられた。

 

そして、なんと言ってもバッチバチにラップをするDAOKO。そうなんだよDAOKOはラッパーなんだよ!と、特別ヒップホップの知識がなくても初期のDAOKOを思い出して感慨深くなる。

 

そう、映像的にも楽曲的にも、どことなくメジャー初期あたりのDAOKOにリンクするような部分があり、その当時のイメージをアップデートする作品に仕上がっている感触を受けた。何より「本当にやりたいことを好きにやってる感」がたまらない。

 

ところで。

 

MVの概要欄を見ると分かるのだが、楽曲のクレジットにこんな記載がある。

【楽曲情報】
「御伽の街」
作詞・作曲 DAOKO / Nariaki Obukuro
編曲 Nariaki Obukuro
Produced by Nariaki Obukuro

Nariaki Obukuroの文字が!!!

 

個人的には小袋成彬氏との共作という点に最も惹かれた。彼が12月にリリースした『Piercing』がすっかり愛聴盤となっていた矢先、である。

 

どうやら制作自体は一昨年の冬から始まっており、互いに意見交換しながら進んでいったという。時には小袋氏からフロウのレクチャーがあったりなど、さすがはプロデューサーといったところ(詳しくは下記のリンクで)。

 

なんというか…少しDAOKOから離れていたところを小袋氏に引き寄せられたというか、このタイミングで戻って来れたのは図らずも嬉しい気持ち。

 

とまあ、個人的な調子で綴ってはみたが、気になったら是非聴いてみてほしいというお話。ここからどうなるのか、本当に楽しみ。

 

DAOKO - 御伽の街
2020/01/15 リリース 

 

 

(taku / おすしたべいこ)

 

 

「C」の先へ - Base Ball Bear『C3』レビュー

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2020年1月22日。年が明けて間もなく、早くも僕にとって大切な作品がリリースされた。Base Ball Bearのニューアルバム、『C3』。

 

思えば、音楽を熱心に聴き始めた高校生の頃から10年以上ずっとCDを買い続けているアーティストは、もうほとんどいない。挙げるとすれば、ASIAN KUNG-FU GENERATIONBase Ball Bearくらいだ。そもそも当時から聴き続けているバンドたちの多くは解散や活動を休止するなどして、まず新譜を買いようがない。Galileo Galileiチャットモンチーは、もういない。

 

「バンドは生き物」とはよく言ったものだ。様々な要因で活動を維持できなくなり、時として「死」を迎えてしまう。それでもベボベは、形を変えながらも決して歩みを止めることはなかった。これがどれほどありがたいことか。僕はベボベのアルバムが出る度にそうしてきたように、新譜の入荷日に『C3』を手に取り、歌詞カードを見ながら家でじっくり聴いた。

 

今作は、2019年にリリースされた先行EP『ポラリス』『Grape』から全曲(8曲)と新曲(4曲)の、合計12曲を収録。新曲が少ない印象だが、既発曲は全て一部録り直しやミックス違いとなり、実質全曲新録ではある。とは言え正直なところ、やや新鮮さには欠けるかもしれない。だが、EPとは収録順が異なったり、ミックスの微妙なニュアンスの違いから、曲の新たな一面を感じられる瞬間は度々ある。 それに、新曲群がとにかく素晴らしく、新鮮さがどうだという話をするのはナンセンスに思えるほどだった。全体を通して、バンドが新たなタームに突入したことを高らかに宣言した会心作と言っていいだろう。

 

前置きはこれくらいにして、収録曲ごとに見ていくことにする。深く詳細な解説は各自に任せて、個人的に感じた部分を中心に綴っていきたい。

 

 

 

* * *

 

 

1. 試される(2020 ver.)

 

EP『ポラリス』より。ギターのみ録り直し、アウトロが延長されたという意味で「2020 ver.」となっている。

試される 試される
やたら僕ら 試される
試される 試される
ミステリーさ  Boy Meets Girl

ここまで「試される」ことをポジティブに(そしてどこかコミカルに)歌い切った曲をアルバムの冒頭に持ってくる無敵感が爽快。

 

 

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2. いまは僕の目を見て(C3 mix)

 

EP『Grape』より。心の機微を描かせたら小出祐介の右に出る者はいないのではないか?と改めて思わされた。涼しげで爽やかな音像も印象的だ。葡萄色のギターも楽曲に色を添えている。

言葉は穴のあいた 軽い砂袋さ
君まで届ける前に かなりこぼれてしまう

君を大切だと感じた そのときにそのまま伝えたら
何かが変わっていきそうで 不安に飲まれてしまう
「正しく」よりも「間違わずに」 伝えることに慎重になる
手応えばかり求めて 言葉を重ね続ける

一聴すると「大切な想いを伝える難しさを歌ったラブソング」と捉えることができるが、同時に小出自身の「言葉を紡ぐ者としての苦悩」が反映された曲とも解釈できるだろう。そんな小難しい話はさておき、葡萄のような豊潤さを増したベボベ流ギターロックの最新形にして一つの到達点を宣言する新たな名曲だ。

 

 

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3. Flame(C3 mix)

 

EP『ポラリス』より。"試される"→"いまは僕の目を見て"→"Flame"という流れで、より深く内省的な部分へとリスナーを誘っていく。この楽曲は、結果的に今作の中で最もシリアスかもしれない。2サビ終わりのギターソロは曲の流れからすると少し過剰なくらい激しいが、それを経て歌われるラストのサビへの導入のような役割も果たしていると感じた。

もう諦めてた残火を 育てるのは呼吸
これからも忘れられないかなしみを 引き連れてく Birthday

過ぎ去ったかなしみをただ反芻しても何も生まれない。顔を上げれば、人には人のかなしみがあり、皆それを乗り越えてきた。そして、これからもかなしみを忘れることなく、むしろ糧として生きていく決意をする。そんな切実なバースデイ・ソング。

 

 

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4. Summer Melt(C3 mix)

 

EP『Grape』より。終わりゆく恋を、溶ける氷と秋の始まりになぞらえて描いたナンバー。

コーヒーの氷は溶け続ける
薄まるの 恋感覚

特筆するべきはこの歌詞。氷によってコーヒーが「濃い」のが薄まっていくのと「恋」の感情が薄まっていくことを巧みに組み合わせたダブルミーニングとなっており、何気なく歌われる詞にも強いこだわりを感じる。もはや職人技。

 

 

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5. L.I.L.

 

新曲。タイトルはおそらくベボベのライブツアー「LIVE IN LIVE」が由来と思われるが、どうやら他にも意味があるらしい。

歌詞には過去曲の要素が見え隠れしている。

曖昧なゆらぎの波に 小さな舟を出し
→"方舟"(『二十九歳』収録)のオマージュ

深い朝の街角で 僕は僕と会っては
→"深朝" "新呼吸"(『新呼吸』収録)のオマージュ

いずれも原曲を踏まえた上での歌詞と思われるが、元がネガティブなイメージだったのに対して今作ではポジティブな意味合いで用いられている点が興味深い。ライブバンドとしても豊富な実績を積んできたベボベだからこそ描けた風景。

 

2020/01/29 追記

 

言の葉が 舞い踊る このフロアで Oh Baby

これまでベボベの曲において「踊る」というワードは何度か出てきたが、今回に関しては自分ではなくもはや「言の葉が」踊っている。新たな次元へと達している印象を受けなくもない。

 

ふたたびメーター合わせる 440ヘルツ

ここでいう「440ヘルツ」というのは、ベボベが普段基準としているチューニングの周波数のことらしい。ズレていた周波数のメーターを合わせるということは、もちろん「再出発」を意味しており、ベボベの現在地を歌った曲だということが分かる。

 

 

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6. EIGHT BEAT詩

 

新曲。タイトルは"ポラリス"の歌詞に登場した「『EIGHT BEAT詩』の天」というフレーズから。「EIGHT BEAT詩」という一見すると不思議な文字列も発音してみれば「AとBとC」となる。それはベボベの3人でもあるし、電波塔の3点でもある。

小出の別プロジェクトであるマテリアルクラブを含め、これまで幾度となく披露してきたラップ形式の楽曲だが、従来と大きく異なるのはギターの音が一切入っていない点と、明確に自分(バンド)語りしている点だ。チャップマン・スティックとドラムのみであたかもスリーピースのような音を作り出し、韻を踏みながらバンドの歴史を総括していく。

Back to the 2001年 午後イチの体育館で鳴らした精一杯のスーパーカー

メジャーは厳しい それでもひねり出した「GIRL FRIEND」は金字塔 

穴のあいた砂袋 中身 君に届けるための苦労に命賭けよう 

突然もげた片翼 狂うバランス 無様に羽ばたくイカロス

生まれ変わってきた現実 まさに実践編のchanges示してく

これが涙腺を刺激しないわけがない。挙げ出せばキリがないが、これまでバンドが歩んできた道のりを巧みな言葉で表現し、現在地を確かめている。「片翼」が湯浅将平のことを指しているのは言うまでもない。

この先もA、B、Cとバンドの歴史を書き足してゆく、そんな決意を新たにする楽曲。

 

 

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7. セプテンバー・ステップス(C3 mix)

 

EP『Grape』より。名物「小出カッティング」を存分に堪能できるナンバー。歌詞もリズムに乗ってしきりに繰り返され、どことなく初期を彷彿とさせるような印象。

もうタッタッタッタッ……と、
さっさっ去ってく、
君ばっかで暑すぎた夏
永遠 遠 遠の7、8月
青空が 爽やか さみしい

メジャー初期の『GIRL FRIEND』や『C』に見られたニューウェーブ的な「ひねくれギターロック」路線を改めて体現した、ゼロ年代パラレル・ワールド的な趣がある。アウトロのギターも新たなミックスでより際立っているようにも聴こえる。

 

 

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8. PARK(C3 mix)

 

EP『ポラリス』より。軽快なラップを聴かせるナンバー。ギターの残響など、既発曲のミックスの中でも特にアップデートが顕著。

アレゴリーの檻に囚われた 動物たちの棲みかがこのパークさ 

"みんな辛い時代"に慣れてる次第 だけどこのまんまじゃLandslide

雌雄 老い若い 以前に個人でしょ 違うからある想像力(イマジネーション)

こうして歌詞を切り取るだけでもメッセージ性の強さを改めて感じる。 価値を再定義することで時代を切り開いて行こうとする様は『C2』の頃の要素にも繋がってくる。現状に胡座をかくことはしない、そんなバンドのアティチュードは今でも変わらないのだろう。

 

 

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9. Grape Juice(C3 mix)

 

3人で音楽を奏でるよろこびを前面に押し出したロックンロール・ナンバー。

でかいギター ひくいベース はやいドラム よ、吹き飛ばして

ここまでストレートだと実に清々しい。

余談だが、タイトル(というかモチーフ)に「Juice」を使ったのはハロプロのJuice=Juiceを意識している…と勘繰るのは深読みが過ぎるか。

 

2020/01/29 追記

 

没入して踊る
点滅が暴れる
不自由な自由に溺れる

"L.I.L."に続いて、ここでも「踊る」が登場。ベボベはかつて"Tabibito In The Dark"で「すべてを振り切るように」踊っていたが、ここではそういったシリアスさよりは本能的に踊って楽しむ意味合いが強いように思う。何せ「没入」しているのだから。

「点滅が暴れる」というのは、ライブハウスなどで踊ることによって視界がブレることを指しているのだろうか。「不自由な自由」もライブハウスのことだとも言えるし、あるいはスリーピースという形態のメタファーだとも言えるかもしれない。

 

 

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10. ポラリス(C3 mix)

 

EP『ポラリス』より。徹底的に「3」で縛った歌詞に、初めて3人でヴォーカルを録ったということもあり、今作に収録されたことで『C3』というアルバムタイトルに説得力を持たせている。先に述べたように「EIGHT BEAT詩」というフレーズはこの楽曲で登場。

街と海と私の三角関係

三部作くらいじゃ終わりそうもない 

"GIRL OF ARMS"(『C』収録)の「街と海と俺の三角関係」という名フレーズをもじった歌詞に目が行きがちだが、「三部作」という部分にも注目したい。これは紛れもなく本作を含めた「Cシリーズ」のことだろう。それが「終わりそうもない」のだから、バンドの旅はまだまだ続く。

"Grape Juice"→"ポラリス"という流れで、改めて3人でバンドを続けていく宣言を固めている。ベボベにとってもリスナーにとっても、これほど強い希望があるだろうか。

 

 

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11. Cross Words

 

新曲。アルバムのリリースに先駆けてMVが公開された、本作のリードナンバー。イントロのギターからすでにずるい。この曲が生み出されるまでたどってきた道のりの長さを思わせる渋みと切なさが音に詰まっている。久々に登場した白黒のテレキャスターも、長年のファンにとっては嬉しいポイントだ。

息をするように君の名前を呼びたい 感じてほしい 僕を
埋められない空欄(あな)は今じゃなくても いいんだよ すべてがヒントさ

クロスワードパズルになぞらえた歌詞の秀逸さたるや。"いまは僕の目を見て"を聴いた時に匹敵する感動が、こんなにも短期間で再びやってくるとは思っていなかった。それだけ現在のベボベが良い状態だということを示してもいるわけなのだが。

YouTubeのコメント欄で「同性愛の曲」という解釈がなされているのを見かけたが、それが正解かどうかは重要ではない。そう解釈できる幅を持った味わい深い歌詞を書ける小出祐介には脱帽するばかりだし、性別や対象に関係なく「大切な誰かに向けられた想い」という本質的で普遍的な感情を見事に綴ったという点において、この曲はベボベ史の中でも最大級の賛辞が送られるべきなのだ。

 

 

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12. 風来

 

新曲。全国様々な地でライブをする自分たちのことを「風来」に例えたナンバー。

左から来たもの右へ手を加え渡し
凝り固まった毎日を噛み続けて
文と文の間の意味は汲みとりすぎて
気づけば味がなくて

日に3度飲んでるサプリ 手を伸ばし止(や)める
反射で開いてたアプリも閉じる
しばらく帰ってない故郷(くに)の親の顔浮かぶ
生活ってやつは難(かた)く

追われるようにルーティーン化した日常のふとした瞬間に音楽は舞い込んで、忘れかけていた大事なものを思い出させる。バンドもリスナーも「音楽の魔法」を信じることをやめてはいけない。そんなメッセージを受け取ったところで、本作は幕を閉じる。

 

 

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ゼロ年代の四つ打ちロックの原点にして、「彼女」の存在を中心に私小説的な文学性を前面に押し出した『C』。世間に対して「それって、for 誰?」と明確に問いかけ、音楽的にもブラック・ミュージックに接近してテン年代における特異点となった『C2』。そして、スリーピースバンドとして確固たる方法論と矜恃を手に入れ、シンプルかつ強靭なアンサンブルで現在地を鮮やかに浮かび上がらせた『C3』。

 

タイトルからして、本作は公式に発表されている通り「Chapter 3」の幕開けであることに他ならない。しかし、それ以上に「C」というのは3番目のアルファベットであり、『C』=「A」、『C2』=「B」だとしたら、ベボベはようやく『C3』で文字通り「C」にたどり着いたことになる。つまりそれは、ようやくバンドとして新たな出発点に立てたことを明確に裏付けているのではないだろうか。

 

経て、2020年。常に「新しいポップ・ミュージック」を鳴らしてきたベボベが描く、「C」の先へ。

 

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(taku / おすしたべいこ)