ムジーク

勝手気ままに綴る音楽ブログ

オタク史上、最もかなしかった夜

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かなしかった、なんて言いたい訳がない。そもそもめでたい日であるはずだし、こんな事にあえて言及する必要はないのかもしれない。

しかし、やはり言わずにはいられなかった。

 

* * *

 

2019年2月3日、この日はクマリデパートのワンマンライブ「千客万来!おいでよ!こころのデパート!」だった。場所は渋谷VISION。早くも新たなキラーチューンとなった最新曲 "シャダーイクン" や各メンバーのソロ曲披露、そしてフルアルバムリリースの予告。ソールドアウト公演だったこともあり非常に充実したライブであり、クマリデパートが新しい季節に突入することを告げる素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれた。くれたのだが…。

 

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思わず目を疑った。メンバーのMC中にも関わらず、それを全く聞かずに騒いでいる集団がいたのだ。

 

最後列でライブを観ていたため、観客の様子はよく見渡せる方だった。その集団もかなり後方にいたが、何を話しているのかまでは詳しく分からなかった。とにかく不快なほど声が大きく、MCを遮ってしまうほど。中にはステージに背を向けている人もいた。そしてMCが明けてライブが再開しても、あまり楽しんでいる様子も伺えなかった。

開演前からやや騒がしく、少し心配はしていたが、その懸念を遥かに上回るレベルの騒音。あれは完全に騒音だった。

 

ステージ上のメンバーからは、彼らの様子はどう映っていただろうか。後方だったためあまり声は聞こえていなかったかもしれないが、特にMC中は会場が明るくなるため、その様子は何となく見えていたとは思う。

 

彼らはこの場所に何をしに来ていたのだろうか。とてもかなしい気持ちになってしまった。少なくともチケット代を払ってライブに来ているのであればファンであると思われるが、ただ仲間内で騒ぎに来ているだけのように思えてしまった。会場前方で観ていた人はもしかしたら気づいていなかったかもしれないが、彼らの周囲にいた人はきっとものすごく迷惑がっていたと思う。ライブと関係なく騒ぐくらいなら来なくていい。

 

後に聞いて知ったことだが、最近も似たようなことがあったらしい。2019年3月10日に行われた、ヤなことそっとミュートとNECRONOMIDOLの2マンライブ「BEYOND vol.3」。この日もMC中に騒ぐオタクがいたらしく、とても迷惑だったという。クマリデパートの時と同一の集団かどうかは定かではないが、こうも立て続けに起こってしまうものなのだろうかと、ひどく疲れてしまった。

 

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曲に合わせてオタ芸を打ったりコールしたりするのはそれぞれの楽しみ方だし、それがアイドルの文化であることは間違いない。しかし、MC中に大声で関係のない話をするのはどう考えてもおかしいし、全力でライブをするアイドルたちの気持ちを踏みにじることになる。いや、真摯に応援しているオタクたちの気持ちをも蔑ろにしていると言っていいだろう。

そういった所謂「害悪ファン」(ファンと呼ぶのも躊躇いたいが)の存在は、当然ライブの動員にも影響してくる。「ファンの質が悪いからライブに行くのはやめよう」となる。当たり前だ。そしてこれは別にアイドルに限ったことではない。

 

昨今のアイドル業界は多様化を極めているのは言うまでもない。王道アイドルからシューゲイザー、ポストロック、ラウドロックニューエイジ、メタル、サイコビリープログレ…など、様々な音楽ジャンルのアイドルたち(俗に言う「楽曲派」)が存在し、盛り上がりを見せている。

その一方で、オタクも多様化を見せており、「コミュ障で根暗でダサい」というようなかつてのオタク像はもはや通用せず、所謂フェスブーム以降の「陽キャ」と呼べるような人々もアイドルの現場に出入りしている。

 

アイドルオタクは今まさに過渡期を迎えているのだろう。それぞれが心地よく楽しめる空間をつくる配慮の心があるかどうかで、アイドル業界も変わっていくように思う。襟を正さなければならない。

 

(taku / おすしたべいこ)

 

 

 

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2019/05/07追記:

 

先日、クマリデパートの公式Twitterにて、以下のようなアナウンスがありました。

MC中の迷惑行為に関しては運営側も認識していたようで、このようにはっきりと「禁止」と宣言していただけたことは、本当に嬉しく思います。

この記事も運営やメンバーにも届いていたようなので、僕としても書いた甲斐がありました。今後とも、楽しく平和な現場であることを願います。