ムジーク

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TOWER VINYLとディスクユニオンは何が違うのか?

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2019年3月21日、タワーレコード新宿店の最上階にオープンしたTOWER VINYL SHINJUKUタワレコ初のレコード専門店であり、昨今のアナログブームも手伝って、音楽ファンから注目されている。

 

…と、ここで気になるのが、ディスクユニオンとの違い。やはりアナログを手広く扱うレコード専門店と言えば、その実績も含めてディスクユニオンを連想する方は多いはずだ。今回のTOWER VINYLは何が違うのか。実際に足を運び、個人的な所感を簡単にまとめてみた。

 

 

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  • ターゲット層

 

こちらの記事を読んでいただければTOWER VINYLの概要は理解していただけると思う。これを前提に話を進めると、TOWER VINYLはやはりその開放的な空間が最も顕著な特徴と言える。

 

ディスクユニオンは基本的に窓もなければ通路も狭い店舗が多く、非常に密室的だ。それが「隠れ家」的な雰囲気を出しており、その中で目当てのレコードを探す様はさながら「宝探し」のような感覚があるので、当然それを好むユーザーが多いのも事実だろう。

しかし、それはある意味で敷居の高さにも繋がっており、狭い通路は人とすれ違う際にストレスを感じる場合もある。総合して、所謂「玄人好み」の傾向にあるのがディスクユニオンだろうか。

 

一方で、TOWER VINYLは陽の光が差し込む開放的なフロアで通路もゆとりがあり、レコード初心者でも安心して見回れる空間になっている。敷居の高さはまるでなく、何より「下の階でCDを買ったついでにちょっと行ってみよう」という動機づけにも繋がるのが大きい。

 

 

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  • 棚(什器)の深さ

 

商品を見ていてまず目についたのが、レコードを入れている什器が浅いことだった。写真を見てわかる通り、レコードのジャケットの約半分がはみ出すようになっている。

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もちろんこれは設計ミスではなく、恐らく「パッと見て何のレコードか分かりやすくする」「見栄えを良くする」という狙いと、「ジャケットの底が抜けないようにするための配慮」という意味合いもあるはずだ。

 

ディスクユニオンの店頭には「レコードをストンと落とす行為は底が抜けるのでやめてください」といった旨の注意書きが貼られていることがある。深い什器に大量に詰め込まれたレコードの中からお目当てのものを探すとなれば、当然レコードを持ち上げてジャケットを確認する必要があり、それを戻す際に重力に任せて「ストン」と落としてしまうのはしばしば見られる光景だ。これにより中の盤の重さでジャケットの底が抜けてしまうことに繋がる(ちなみにディスクユニオンでは底抜け防止のために底に厚紙を入れて対策している)。

 

そこで、什器を浅くすればレコードを持ち上げる必要はなくなり、パタパタと倒していくことでジャケットを簡単に確認することができる。特にレコードの扱いに慣れていない初心者をターゲットとしているTOWER VINYLであれば、この対策は当然と言えるだろう。

 

 

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  • 商品に付いているタグ(カード)

 

これは特に中古品に言えることだが、TOWER VINYLでもディスクユニオンでも、その商品の状態(コンディション表記)やアーティスト名/アルバム名や規格番号などの詳細情報、そしてバーコードが記載されたカードが個別につけられており、管理されている。

 

ディスクユニオンでは商品の状態がアルファベットで記載されており、加えてその商品がどういった作品なのか(バンドのソロ作品、発表年代、プライベート盤、その他おすすめポイント etc.)がメモ程度に記載されていることが多く、参考になるものが多い(写真はCDだが表記形態はレコードも同じ)。

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対してTOWER VINYLでは、同じく状態がアルファベットで記載されているものの、それがどういう状態なのか非常に連想しづらい表記形態になっている。

そしてどういった作品なのかという点においては一切記載がなく、そのレコードが何なのか知らない場合は自分で調べる必要がある。

ただ、これに関してはこの先在庫の実績を積んでいけば情報が蓄積されるため、記載されるようになるのは時間の問題かもしれない。

 

 

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以上が個人的に感じたTOWER VINYLとディスクユニオンの違いである。最初にTOWER VINYLオープンの知らせを聞いた際は、期待感を抱いたと同時に「ディスクユニオンと同じような店舗を作って大丈夫なのか?」と半ば懐疑的だったが、実際に足を運んでみるとしっかり差別化がされていた印象。

 

このストリーミング全盛期の時代に真逆のアナログブームが来るのは必然と言えるだろう。スマートフォンで簡単にアルバムを追加する手軽さもいいが、出かけたついでにちょっとレコードを手に取ってみることで新しい発見もあるかもしれない。まだまだレコードショップには未来があると信じずにはいられない、そんな気持ちを新たにした。

 

(taku / おすしたべいこ)