ムジーク

勝手気ままに綴る音楽ブログ

人が変わること・バンドが変わらないこと - 羊文学「まばたき」を観て

 

最新作『きらめき』のレコ発として、初の東名阪ツアーである「まばたき」を行なった羊文学。そのファイナル公演が、2019年8月7日、渋谷CLUB QUATTROで行われた。

 

チケットはソールドアウト。超満員の会場で、整番が60番台だった僕はステージから3〜4列目の好ポジションに収まっていた。

 

羊文学は、今日に至るまでワンマンライブの会場の規模を着実に大きくしてきた。初めてのワンマンは2018年4月1日、下北沢BASEMENT BAR。『オレンジチョコレートハウスまでの道のり』のリリース記念。その次は2018年8月20日代官山UNIT。こちらは『若者たちへ』のリリース記念だった。

 

 

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そして、2019年。羊文学は自身最大規模のワンマンを大成功させたのだ。

 

新旧織り交ぜられたセットリストに身を委ねながら、僕は色々なことを考えた。1年前に代官山で観た時に僕の周りにいた人たちはもう誰もいないし、ましてや下北沢の時とは状況が全く違っている。自分を取り巻く人間関係や環境は大きく変わり、あの頃の「僕」はもう遥か彼方へ去って行った、とさえ思う。それは悲しいことではなかったが、どこか寂しい気持ちがあるのも事実だった。

 

しかし、そこでふと気づいた。羊文学は変わらずに、ただそこにいてくれたことに。

 

いや、彼女たちだって、きっと変わっているはずだ。変わらない人間などいないし、ワンマンの会場が大きくなるごとに、バンドを取り巻く環境も大きく変化していったに違いない(事実、昨年3人は事務所を辞めたことを今回のMCで明かしていた)。それでも、「羊文学」というバンドとしてステージに立った時の彼女たちは、いつも通りなのだ。

 

特に、飄々とギターを弾き、時にはメンバーに笑顔を向けながら楽しそうにかき鳴らし、伸びやかで美しい歌声を聴かせ、かと思えばずっこけてしまうほどゆるいMCを飛ばしてくる、塩塚モエカという存在。どれだけ環境が変わっても、彼女を通して聴こえてくる歌はどこか憂いを帯びていて、しかし確実に美しく、儚い。僕はとても救われたような気持ちになった。

 

今回のライブの最後に披露されたのは、音源化されていない"生活"という曲だった。生活、と名のつく曲はたくさんあるが、その多くに共通して言えるのは、根底にある「生活の難しさ=日々の生きづらさ」から生まれる、ということだろう。その意味を深く噛み締めながら、3人に心からの拍手を送った。僕は今、幸せだ。

 

突き放しもしないが、寄り添ってくるわけでもない。ただそこにいてくれる羊文学に会いに行くために、僕はこの先もライブに通い続けるだろう。

 

(taku / おすしたべいこ)

 

 

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羊文学「まばたき」@渋谷CLUB QUATTRO 2019/08/07

1. あたらしいわたし
2. 天国
3. 絵日記
4. ロマンス
5. ドラマ
6. うねり
7. 夏のよう
8. 踊らない
9. 人間だった(新曲)
10. 若者たち
11. ハイウェイ(Intro long ver.)
12. ミルク
13. ソーダ
14. コーリング(Intro long ver.)
15. 涙の行方
16. 天気予報
17. 優しさについて

En1
18. Fix(※Hazel English cover
19. Step
20. 祈り(新曲)

En2
21.生活